減損会計適用の流れ

固定資産の減損とは、資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった状態であり、減損処理とは、そのような場合に、一定の条件の下で回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理のことです。

部分は、鑑定評価等が必要になる箇所です。

鑑定評価等が必要とされる場面

減損の兆候把握

減損の兆候とは、資産又は資産グループの収益性が低下したことにより、投資額を回収できない可能性を示す事象が発生していることをいいます。

減損の兆候を把握することとしたのは、対象資産すべてについて、減損損失を認識するかどうかの判定を行うことが、実務的に大きな負担となることを配慮したためです。

減損の兆候の判定は、基本的には企業が、下表のような企業内部の情報や企業外部の要因に関する情報などの通常の企業活動において実務的に入手可能な情報に基づいて判定することとされています。

  1. 企業内部の情報
    ①内部管理目的の損益報告
    ②事業の再編等に関する経営計画など
  2. 企業外部の要因に関する情報
    ①経営環境に関する情報
    ②資産の市場価格に関する情報など

また、兆候の例示については、以下の通りです。

  1. 営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナスとなっているか、又はマイナスとなる見込みである場合(概ね過去2期。ただし、当期の見込みが明らかにプラスとなる場合は該当しない。)
  2. 使用範囲又は方法について回収可能価額を著しく低下させる変化が生じたか、又は生ずる見込みである場合(主要な資産の変化も含まれる。)
  3. 経営環境(市場環境、技術的環境、法律的環境等)の著しい悪化の場合
  4. 市場価格の著しい下落(少なくとも50%程度下落した場合が該当)の場合

重要性がある不動産 …原則的時価算定 又は みなし時価算定

重要性が乏しい不動産…原則的時価算定 又は みなし時価算定

減損損失の認識の判定

減損の兆候があると判断された場合、次のステップとして減損損失を認識するかどうかの判定を行う必要があります。

その判定は、資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって行い、資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には減損損失を認識します。

減損損失を認識するかどうかを判定するために割引前将来キャッシュ・フローを見積る期間は、資産又は資産グループ中の主要な資産の経済的残存使用年数と20年のいずれか短い方とします。

重要性がある不動産 …原則的時価算定 又は みなし時価算定

重要性が乏しい不動産…原則的時価算定 又は みなし時価算定

減損損失の測定

減損損失を認識すべきであると判定された資産又は資産グループについては、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として当期の損失とします。

回収可能価額とは、次の①又は②のいずれか高い方の金額をいいます。

  1. 正味売却価額
    資産又は資産グループの時価から処分費用見込額を控除して算定される金額
  2. 使用価値
    資産又は資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる
    将来キャッシュ・フローの現在価値

【使用価値を求める際の将来の正味売却価額】

重要性がある不動産 …原則的時価算定 又は みなし時価算定

重要性が乏しい不動産…原則的時価算定 又は みなし時価算定

【現在の正味売却価額】

重要性がある不動産 …原則的時価算定のみ

重要性が乏しい不動産…原則的時価算定 又は みなし時価算定

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