国税庁質疑応答事例

平成29年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

広大地の評価における「その地域」の判断

広大地の評価において、「その地域における標準的な宅地の地積に比して・・・」と定めている「その地域」とは、具体的にどの範囲をいうのでしょうか。
また、「標準的な宅地の地積」はどのように判断するのでしょうか。

広大地とは、「その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるもの」をいいます。
この場合の「その地域」とは、原則として、評価対象地周辺の

1 河川や山などの自然的状況

2 土地の利用状況の連続性や地域の一体性を分断する道路、鉄道及び公園などの状況

3 行政区域

4 都市計画法による土地利用の規制等の公法上の規制など、土地利用上の利便性や利用形態に影響を及ぼすもの

などを総合勘案し、利用状況、環境等が概ね同一と認められる、住宅、商業、工業など特定の用途に供されることを中心としたひとまとまりの地域を指すものをいいます。
また、「標準的な宅地の地積」は、評価対象地の付近で状況の類似する地価公示の標準地又は都道府県地価調査の基準地の地積、評価対象地の付近の標準的使用に基づく宅地の平均的な地積などを総合勘案して判断します。
なお、標準的使用とは、「その地域」で一般的な宅地の使用方法をいいます。

広大地の評価における「著しく地積が広大」であるかどうかの判断

広大地の評価において、評価対象地の地積が「著しく地積が広大」であるかどうかはどのように判断するのでしょうか。

評価対象地が都市計画法施行令第19条第1項及び第2項の規定に基づき各自治体の定める開発許可を要する面積基準(以下「開発許可面積基準」といいます。)以上であれば、原則として、その地域の標準的な宅地に比して著しく地積が広大であると判断することができます。
なお、評価対象地の地積が開発許可面積基準以上であっても、その地域の標準的な宅地の地積と同規模である場合は、広大地に該当しません。 [面積基準]

イ 市街化区域、非線引き都市計画区域及び準都市計画区域(ロに該当するものを除く。) ・・・都市計画法施行令第19条第1項及び第2項に定める面積

 (イ)市街化区域
    三大都市圏・・・500㎡
    それ以外の地域 ・・・1,000㎡

 (ロ)非線引き都市計画区域及び準都市計画区域・・・3,000㎡

ロ 非線引き都市計画区域及び準都市計画区域のうち、用途地域が定められている区域・・・市街化区域に準じた面積

(注1)都道府県等の条例により、開発許可面積基準を別に定めている場合はその面積によります。

(注2)三大都市圏とは、次の地域をいいます。

1 首都圏整備法第2条第3項に規定する既成市街地又は同条第4項に規定する近郊整備地帯

2 近畿圏整備法第2条第3項に規定する既成都市区域又は同条第4項に規定する近郊整備区域

3 中部圏開発整備法第2条第3項に規定する都市整備区域

3 「非線引き都市計画区域」とは、市街化区域と市街化調整区域の区域区分が行われていない都市計画区域をいいます。

4 「準都市計画区域」とは、都市計画区域に準じた規制が行われ、開発許可制度を適用し、用途地域、特定用途制限地域、風致地区などを定めることができる都市計画区域外の区域をいいます。

広大地の評価における公共公益的施設用地の負担の要否

広大地の評価において、「開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるもの」とは、どのようなものをいうのでしょうか。

広大地の評価は、戸建住宅分譲用地として開発した場合に相当規模の公共公益的施設用地の負担が生じる宅地を前提としていることから、「公共公益的施設用地の負担が必要と認められるもの」とは、経済的に最も合理的に戸建住宅の分譲を行った場合にその開発区域内に道路の開設が必要なものをいいます。
したがって、例えば、次のような場合は、開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担がほとんど生じないと認められるため、広大地には該当しないことになります。

(1) 公共公益的施設用地の負担が、ごみ集積所などの小規模な施設の開設のみの場合

(2) セットバック部分のみを必要とする場合

(3) 間口が広く、奥行が標準的な場合

(4) 道路が二方、三方又は四方にあり、道路の開設が必要ない場合

(5) 開発指導等により道路敷きとして一部宅地を提供しなければならないが、道路の開設は必要ない場合
セットバックを必要とする土地ではありませんが、開発行為を行う場合に道路敷きを提供しなければならない土地部分については、開発区域内の道路開設に当たらないことから、広大地に該当しません。

(6) 路地状開発を行うことが合理的と認められる場合
(路地状開発とは、路地状部分を有する宅地を組み合わせ、戸建住宅分譲用地として開発することをいいます。)
なお、「路地状開発を行うことが合理的と認められる」かどうかは次の事項などを総合的に勘案して判断します。

1 路地状部分を有する画地を設けることによって、評価対象地の存する地域における「標準的な宅地の地積」に分割できること

2 その開発が都市計画法、建築基準法、都道府県等の条例等の法令に反しないこと

3 容積率及び建ぺい率の計算上有利であること

4 評価対象地の存する地域において路地状開発による戸建住宅の分譲が一般的に行われていること

(注) 上記の(3)~(6)の区画割をする際の1区画当たりの地積は、評価対象地の存する地域の標準的使用に基づく「標準的な宅地の地積」になります。

広大地の評価における「中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの」の判断

広大地の評価において、「中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの」とは具体的にどのようなものをいうのでしょうか。

評価対象地が、「中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの」(中高層の集合住宅等の敷地用地として使用するのが最有効使用と認められるもの)かどうかの判断については、その宅地の存する地域の標準的使用の状況を参考とすることになります。
しかし、戸建住宅と中高層の集合住宅等が混在する地域(主に都市計画により指定された容積率(指定容積率)が200%以下の地域)にある場合には、最有効使用の判定が困難な場合もあることから、例えば、次のように「中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの」に該当すると判断できる場合を除いて、「中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの」には該当しないこととして差し支えありません。

1 その地域における用途地域・建ぺい率・容積率や地方公共団体の開発規制等が厳しくなく、交通、教育、医療等の公的施設や商業地への接近性(社会的・経済的・行政的見地)から判断して中高層の集合住宅等の敷地用地に適していると認められる場合

2 その地域に現に中高層の集合住宅等が建てられており、また、現在も建築工事中のものが多数ある場合、つまり、中高層の集合住宅等の敷地としての利用に地域が移行しつつある状態で、しかもその移行の程度が相当進んでいる場合

一方、指定容積率が300%以上の地域内にある場合には、戸建住宅の敷地用地として利用するよりも中高層の集合住宅等の敷地用地として利用する方が最有効使用と判断される場合が多いことから、原則として「中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの」に該当することになります。
地域によっては、指定容積率が300%以上でありながら、戸建住宅が多く存在する地域もありますが、このような地域は指定容積率を十分に活用しておらず、
1 将来的にその戸建住宅を取り壊したとすれば、中高層の集合住宅等が建築されるものと認められる地域
か、あるいは、
2 例えば道路の幅員(参考)などの何らかの事情により指定容積率を活用することができない地域
であると考えられます。したがって、2のような例外的な場合を除き、評価対象地が存する地域の指定容積率が300%以上である場合には、「中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの」と判断することになります。

 広大地の評価における「中高層の集合住宅等」の範囲

広大地の評価において、「中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの」が広大地の対象から除かれていますが、中高層の集合住宅等とはどのようなものをいうのでしょうか。

「中高層」には、原則として「地上階数3以上」のものが該当します。
また、「集合住宅等」には、分譲マンションのほか、賃貸マンション等も含まれます。

 広大地の評価の判断事例

戸建住宅が連たんする住宅街に存するファミリーレストランの敷地は広大地に該当するのでしょうか。

ファミリーレストラン等の敷地の地積が、その地域の標準的な戸建住宅としての宅地の地積に比して著しく広大である場合には、広大地の評価における他の要件を満たせば、広大地に該当することになります。
なお、いわゆる郊外路線商業地域(都市の郊外の幹線道路(国道、都道府県道等)沿いにおいて、店舗、営業所等が連たんしているような地域)に存する、その地域の標準的な宅地の地積と同規模のファミリーレストラン等の敷地については、著しく広大とはいえないため広大地に該当しないことになります。

 市街化調整区域内における広大地の評価の可否

市街化調整区域内の宅地について、広大地の評価を行うことはできるのでしょうか。

市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域で、原則として、周辺地域住民の日常生活用品の店舗や農林漁業用の一定の建築物などの建築の用に供する目的など、一定のもの以外は開発行為を行うことができない区域です。そのため、市街化調整区域内の宅地は、通常、広大地の評価を行うことはできません。
しかし、都市計画法の規定により開発行為を許可することができることとされた区域内の土地等(例えば、都市計画法第34条第11号の規定に基づき都道府県等が条例で定めた区域内の宅地)で、都道府県等の条例の内容により戸建分譲を目的とした開発行為を行うことができる場合には、市街化調整区域内の宅地であっても広大地の評価における他の要件を満たせば広大地の評価を行うことができます。

 都市計画道路予定地の区域内にある広大地の評価

都市計画道路予定地の区域内にある宅地が広大地に該当する場合には、どのように評価するのでしょうか。(中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているものでないなどの広大地の評価における他の要件は満たしています。)

広大地補正率により評価した後、都市計画道路予定地の区域内にある宅地としての補正率を乗じて計算した価額により評価します。

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