土地と建物の取得費を分ける必要がある理由

不動産売却で売買契約書に土地建物の内訳がない場合の考え方

不動産を売却するとき、取得費の確認で問題になりやすいのが、土地と建物の内訳です。

売買契約書が残っていても、契約書に「土地○円、建物○円」と分かれて記載されておらず、土地建物一括の総額だけが記載されていることがあります。

このような場合、取得費を考えるうえで、土地と建物をどのように分けるかが問題になることがあります。

土地と建物では、税務上の取扱いや建物の減価の考え方が異なるためです。

このページでは、土地と建物の取得費を分ける必要がある理由、内訳が分からない場合に確認する資料、固定資産税評価額を使う場合の注意点を整理します。

このページの結論

土地建物を一括で取得した不動産では、取得費を土地と建物に分けて整理する必要が生じることがあります。

理由は、土地と建物では性質が異なり、建物については取得後の期間経過による減価を考慮する場面があるためです。

売買契約書に土地建物の内訳が書かれていない場合でも、固定資産税評価額、消費税の記載、重要事項説明書、建物登記、建築確認資料、建物図面、取得時点の土地価格水準などを確認することで、内訳を検討できる場合があります。

ただし、固定資産税評価額だけで機械的に内訳が決まるわけではありません。

どのように取得費を整理し、申告に反映するかは税務判断を伴います。最終的な判断は税理士に確認する必要があります。

1. 土地と建物を分ける必要がある理由

土地と建物は、同じ不動産でも性質が異なるため、取得費を整理する際に分けて考える必要が生じます。

土地は、通常、期間の経過によって価値が減るものとして扱われません。

一方、建物は、使用や年数の経過によって価値が減少する資産です。そのため、不動産売却時の取得費を検討する際、建物については取得後の期間経過による減価を考える場面があります。

その結果、土地建物を一括で購入した場合でも、取得費の整理では土地と建物を分ける必要が出てくることがあります。

特に、次のような場合に問題になりやすくなります。

  • 中古住宅を土地建物一括で購入した
  • 売買契約書に総額しか書かれていない
  • 契約書に土地建物の内訳がない
  • 消費税の記載から建物価格を確認できる可能性がある
  • 建物が古く、取得時と売却時で価値が大きく変わっている
  • 相続した土地建物を売却するが、親の契約書に内訳がない

2. 土地建物の内訳が問題になりやすいケース

売買契約書に総額しか記載されていない場合や、古い契約書で土地建物の内訳が不明な場合は、取得費の整理が難しくなりやすいです。

ケース 問題になりやすい点
中古住宅を土地建物一括で購入した 総額のうち土地と建物の金額が分からない
契約書に総額しかない 土地建物の取得費を分けにくい
親が購入した不動産を相続した 親の契約書や内訳資料が残っていない
建物を後で建築した 土地取得費と建物建築費を別に確認する必要がある
建物を増改築している 当初建物と増改築部分の整理が必要になる
売却前に建物を取り壊した 取得時・相続時・売却時の建物の有無を確認する必要がある
契約書に消費税記載がある 建物価格を推定する手がかりになる場合がある

このようなケースでは、契約書だけでなく、複数の資料を組み合わせて土地建物の内訳を整理します。

3. 売買契約書に土地建物の内訳がない場合

売買契約書が残っていても、土地と建物の内訳が書かれていない場合は、別途資料を確認する必要があります。

契約書に総額しか記載されていない場合、取得費全体は分かっても、土地と建物にどう分けるかが分かりません。

この場合、まず契約書の中に次のような記載がないか確認します。

  • 土地と建物の表示
  • 売買代金の総額
  • 消費税額の記載
  • 建物価格に関する記載
  • 固定資産税等の精算金の記載
  • 付属建物や未登記建物の記載
  • 重要事項説明書との整合性

特に、売買契約書に消費税額が記載されている場合、建物部分の価格を考える手がかりになることがあります。

ただし、消費税記載の有無や使い方は契約内容や時期によって異なるため、機械的に判断するのではなく、税理士に確認する必要があります。

4. 土地建物の内訳を検討するために確認する資料

土地建物の内訳が分からない場合は、契約書、重要事項説明書、固定資産税資料、建物資料、取得時点の価格資料を確認します。

資料 確認できる可能性がある内容
売買契約書 総額、消費税記載、土地建物の表示、付属建物の有無
重要事項説明書 土地建物の面積、構造、築年数、法令制限など
固定資産税課税明細書 土地・建物の評価額、面積、構造、床面積など
建物登記 新築年月日、構造、床面積、家屋番号など
建築確認資料 建物の建築時期、用途、構造、規模など
建物図面 間取り、床面積、配置など
地価資料 取得時点の土地価格水準
住宅地図・航空写真 取得当時の建物の有無や土地利用

これらの資料を確認することで、土地と建物の内容、取得時点の価格水準、建物の状態などを整理できます。

ただし、どの資料をどのように使うかは、個別事情によって異なります。

5. 固定資産税評価額で土地建物を分けられるのか

固定資産税評価額は土地建物の内訳を考える際の参考資料になりますが、それだけで機械的に内訳が決まるわけではありません。

固定資産税課税明細書には、土地と建物の評価額がそれぞれ記載されていることがあります。

そのため、土地建物一括の売買代金を、固定資産税評価額の比率で按分する方法が検討されることがあります。

しかし、固定資産税評価額は、固定資産税等を課税するための評価額です。

実際の売買価格や取得時点の市場価格とは異なる場合があります。

固定資産税評価額を使う場合の注意点

  • 固定資産税評価額は取得費そのものではない
  • 評価額の時点が取得時点と一致しない場合がある
  • 建物が古い場合、評価額と実際の価値に差があることがある
  • 未登記建物や未登記増築部分がある場合、登記資料と一致しないことがある
  • 土地の一部が道路・私道として非課税になっている場合がある
  • 固定資産税評価額だけで判断せず、他の資料と照合する必要がある

固定資産税評価額は有用な資料ですが、万能ではありません。

土地建物の内訳を検討する場合は、契約書、重要事項説明書、建物資料、地価資料などと合わせて確認します。

6. 消費税の記載が手がかりになる場合

売買契約書に消費税額が記載されている場合、建物価格を考える手がかりになることがあります。

土地の譲渡には通常消費税がかかりませんが、建物には消費税が関係する場合があります。

そのため、土地建物一括の契約書に消費税額が記載されている場合、消費税額から建物価格を逆算できる可能性があります。

ただし、消費税率、契約時期、売主の属性、契約内容などによって取扱いが変わることがあります。

そのため、消費税記載から建物価格を考える場合は、税理士に確認する必要があります。

このページでは税額判断は行いませんが、契約書に消費税額が記載されている場合は、土地建物の内訳を整理するうえで重要な手がかりになることがあります。

7. 建物が古い場合の注意点

建物が古い場合、取得時の建物価格と売却時の建物価値が大きく異なることがあります。

取得時には一定の価値があった建物でも、売却時には老朽化して価値が小さくなっていることがあります。

また、売却時には更地になっていても、取得時には建物が存在していたケースもあります。

建物が古い場合は、次の点を確認します。

  • 建物の新築時期
  • 取得時に建物が存在していたか
  • 取得後に増改築があったか
  • 売却前に建物を取り壊したか
  • 建物登記と固定資産税資料が一致しているか
  • 未登記建物や未登記増築部分がないか

建物の履歴が分からないと、土地建物の取得費を整理しにくくなります。

建物については、建物登記、固定資産税課税明細書、建築確認資料、建物図面、住宅地図、航空写真などを確認します。

8. 相続不動産で土地建物の内訳が分からない場合

相続した不動産では、親の購入時の契約書が残っていても、土地建物の内訳が分からないことがあります。

親や祖父母が購入した古い不動産では、契約書がない、契約書に総額しか書かれていない、建物資料がない、建物が途中で建て替えられているなどのケースがあります。

相続不動産では、次の点を整理します。

  • 被相続人がいつ土地を取得したか
  • 取得時に建物があったか
  • 建物は被相続人が建てたのか
  • 途中で増改築や建替えがあったか
  • 売却時に建物が残っていたか
  • 建物を取り壊してから売却したか
  • 契約書、建築資料、固定資産税資料が残っているか

相続不動産では、土地と建物の履歴を時系列で整理することが重要です。

9. 土地建物の内訳で誤解されやすいポイント

土地建物の取得費では、「固定資産税評価額で機械的に分ければよい」「契約書の総額だけ分かれば十分」と誤解されることがあります。

誤解1:固定資産税評価額で必ず分けられる?

固定資産税評価額は参考資料になりますが、それだけで機械的に内訳が決まるわけではありません。

取得時点の状況や他の資料も確認する必要があります。

誤解2:契約書の総額があれば内訳は不要?

土地建物一括の取得では、総額が分かっていても、土地と建物の内訳が問題になることがあります。

特に建物の減価を考える場合には、内訳整理が重要になります。

誤解3:建物が古いから取得費はゼロでよい?

建物が古いからといって、取得時の建物取得費を無視してよいとは限りません。

取得時の状況、建築時期、減価、資料の有無を確認する必要があります。

誤解4:売却時に更地なら建物は関係ない?

売却時に更地でも、取得時や相続時に建物が存在していた場合は、建物の取得費や取壊しの経緯が問題になることがあります。

誤解5:不動産鑑定士が税務上の内訳を決める?

税務申告、税額計算、税務判断は税理士の業務です。

不動産鑑定士は、不動産価格や資料の観点から、土地建物の状況や価格根拠を整理します。

10. 土地建物の取得費を整理する流れ

土地建物の取得費を整理する場合は、契約書だけでなく、建物資料や固定資産税資料を合わせて確認します。

手順 内容
1 売却した不動産が土地のみか、土地建物かを確認する
2 取得時に建物があったかを確認する
3 売買契約書に土地建物の内訳があるか確認する
4 消費税額の記載があるか確認する
5 固定資産税課税明細書で土地建物の評価額を確認する
6 建物登記、建築確認資料、建物図面を確認する
7 取得時点の土地価格水準を確認する
8 税理士に申告方法を確認する

この流れで整理すると、土地建物の内訳を検討するために不足している資料が分かりやすくなります。

11. 取得費意見書という選択肢

取得費意見書とは、土地建物の取得費が不明な場合に、不動産価格や資料の観点から取得費の根拠を整理する説明資料です。

売買契約書に土地建物の内訳がない場合、固定資産税評価額、建物資料、取得時点の価格水準などを確認して、取得費の考え方を整理することがあります。

取得費意見書は、税務申告書ではありません。

また、「この金額で必ず税務署に認められる」と保証する資料でもありません。

税理士が申告内容を検討する際の説明資料として、不動産鑑定士が作成するものです。

13. まとめ

土地建物を一括で取得した不動産では、取得費を土地と建物に分けて整理する必要が生じることがあります。

売買契約書に土地建物の内訳がない場合でも、消費税の記載、固定資産税課税明細書、重要事項説明書、建物登記、建築確認資料、建物図面、取得時点の地価資料などを確認することで、内訳を検討できる場合があります。

ただし、固定資産税評価額だけで機械的に内訳が決まるわけではありません。

建物が古い場合、相続不動産の場合、売却時に更地になっている場合などは、取得時・相続時・売却時の土地建物の状況を時系列で整理することが重要です。

どのように取得費を整理し、申告に反映するかは税務判断を伴います。最終的な判断は税理士に確認する必要があります。

不動産価格や不動産資料の面から土地建物の取得費の根拠整理が必要な場合は、不動産鑑定士による取得費意見書が検討対象になります。

取得費意見書・事前調査について

土地建物の取得費の内訳が分からない場合、固定資産税課税明細書などをもとに、取得費を説明できる可能性があるか事前調査が可能です。

取得費意見書の無料事前調査・費用・ご依頼の流れは、専用ページでご確認ください。

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